誰もいない診療所みたいなところ、どこだろと思って部屋を見回していると後から白い服?を着た少女が現れる。
「あの、先ほど〇〇君の治療(?)が終わったので先生に伝えておいてください」
少女は少しトーンの低い声でそう言った。俺をこの診療所の人と勘違いしたのだろうか。それよりも女性の出す雰囲気が気になった俺はその人の話をもう少し聞いてみることにした。
「ここは、廃病院なんです。もう誰もいないのですが、ここにはまだ死んでもなおこの世を彷徨っている人たちがいるんです……」
女性は持っていたノートパソコンを広げ、画面に映っているものを見せてくれた。何かの文字を形作るかのようにたくさんの写真が並べてある。そしてそれらをよくみると全ての写真に似たような幽霊の姿が映っていた。
「わたし、あちこちに行ってこういう写真を撮っているんです」
俺はパソコンをジッと眺めていると、なんと写真の中の一部が少しずつ動き出した。それはまるでそのパソコンの中が自分達のテリトリーであると主張しているかのようだった。写真の中で動き回っていたものが写真の中から出てきて、画面一杯になるほどの大きな存在まで現れるようになった。次第にそれらは力をつけていったのか、ついには戦艦を引き連れた海戦の映像が映し出され
俺「ってさすがにこれ(海戦の映像)はやりすぎじゃないか?」
少女「?」
なんとなく感じてはいたが実はその心霊写真。全部合成。そしてまるで静止画が突然動きだしたように見せるために最初から動画を見せていただけなのだ。
俺「何で急に戦艦の映像になるんだよ。まったく関連性がないよ」
少女「そんなことはありません。――これはある兵隊さんのお話です
その兵隊は第二次世界大戦の際敵艦にやられて沈没する船から脱出しらたしい、しかし海の真ん中、兵隊は一人海の真ん中を漂っていました。
すると、一匹のサメが現れました。兵隊はサメに食われると必死に抵抗しようとしました。しかしサメに対する抵抗も功を奏しません。
もう、ダメかと思った兵隊でしたが、そのサメは実は、半魚人だったのです。
ふとしたきっかけでサメと兵隊は仲良くなりました。そして友好を深めていったのです。
しかし、それも長くは続きませんでした。
二人の前に獰猛な本物のサメが現れ、二人を襲い始めました。」
(※ここから兵隊が俺視点になります)
俺(兵隊)「うっ、だめだ、もう食われてしまう」
半魚人「兵隊、お前だけでも逃げろ!ここは俺が食い止める!」
俺「ダメだ、お前を見捨てるわけにはいかない。それに、俺じゃあ逃げきれない」
半魚人「――うるせぇ、いけ!兵隊!」
半魚人にぶん投げられる俺、5mくらい飛んで水面に落ちた。
俺(クソッ、半魚人。お前のことは、忘れない……!)
泳いでいると、何故か次第に俺の体が半魚人化していく。
途端に推力は上がっていき、その場から離れることができる。
少女「頑張ってください!岸まであともう少しです!」
気づけば少女が俺の背に乗っている。
すぐに海岸(元いた診療所的なところ)にたどり着いた。
少女は俺の背中から降りるとすました声でこう言った。
少女「……と、いうお話でした」
俺「なんでやねん!」
チャンチャン♪
夢終わり!
[1回]
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